どうも、なけ3です。リーマンショック世代で派遣登録からスタートし、気づいたら同じ会社の営業になっていたアラフォーです。現場で気づいたことをゆるく発信しています。
派遣で働いていると、現場のリーダーや所長から「うちで直接働かない?」と声をかけられることがあります。
「交通費出るよ」「このままだと派遣減らさなきゃいけなくて…」「正社員になれるかもよ」
魅力的に聞こえるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。その誘いに乗る前に、一度立ち止まって考えてほしいことがあります。
今回は派遣先からの直接雇用の誘いについて、ワーカーさん側と派遣先側の両方の視点から書いていきます。
よくある誘い文句のパターン
派遣先からの誘いには、いくつかの典型的なパターンがあります。
パターン① 「派遣を減らさないといけなくて…」
「会社の方針で派遣スタッフを減らすことになって、このままだとあなたを呼べなくなるかもしれない」
などと、不安を煽った後に――
「でも、実はうちでアルバイト募集してるんだよ。直接雇用ならずっと働けるよ」
パターン② 「直接雇用なら交通費出るよ」
派遣だと交通費込みの時給。でも直接雇用なら交通費が別途支給される、と聞くと得した気分になりますよね。
でもちょっと待って。時給そのものは下がっていませんか?
パターン③ 「正社員にならない?」
「うちで正社員として働かない?」
これは一見すごく良い話に聞こえます。でも、責任の重さ、拘束時間、実際の給料を時給換算したら…?
待遇を冷静に比較してみよう
数字で具体的に見てみます。
派遣で働いているとき
・時給1,400円(交通費込)
・同一労働同一賃金である程度の水準が保たれている
・シフトの希望が通りやすい ・日払い・週払い対応してくれる
・派遣会社が複数の案件を持っているので、何かあれば別の現場を紹介してもらえる
直接雇用(アルバイト・パート)として誘われた場合
・時給1,100円+交通費500円/日
・1日8時間で計算すると、実質時給は1,162円?
・シフトは固定を求められる ・給料日は月1回
・有給やボーナスは「働き方による」と濁される
トータルで見ると、実は派遣のときより条件が悪くなっているケースも少なくありません。
雇用形態によって全然違う
「直接雇用」と一口に言っても、中身は全く違います。
正社員として誘われた場合
良い点:雇用の安定、ボーナス、昇給の可能性
厳しい点:責任が増える、残業が当たり前、異動・転勤の可能性
アルバイト・パート・契約社員として誘われた場合
派遣とほぼ変わらないのでは…? わざわざ乗り換えるメリットは?
「契約社員から正社員を目指せる」と言われても、実際にその道が開けているかは別問題です。後述する事例も参考にしてください。
そもそも、なぜ派遣で働いていたんだっけ?
ここでいちばん大事な問いかけです。
あなたが派遣を選んだ理由は、なんだったでしょうか。
・就職活動や転職活動の合間に、一時的に収入を得たかった ・家庭の事情があって「いつでも辞められる」自由が必要だった ・日払い・週払いで急な出費に対応したかった ・面接なしで、すぐに働き始められるのが魅力だった ・複数の現場を経験してみたかった
その目的は、派遣先の直接雇用で解決するのでしょうか?
アルバイトやパートの求人なら、いくらでもあります。わざわざ今働いている倉庫・工場に、直接雇用という形で残る理由はありますか?
派遣会社の営業力を忘れていませんか?
今あなたが働いている現場は、あなた一人の力で勝ち取ったものではありません。
派遣会社の営業担当が:
・派遣先を開拓して
・あなたを紹介して
・面接なしで初日から働ける環境を整えてくれた
その仕組みがあったから、そこに乗っかったから今の職場があるのです。
派遣会社を通さずに勝手に直接雇用の話を進めるということは、その恩を踏みにじる行為になります。
派遣会社と派遣先は、あなたが思っているより深く繋がっている
「現場の所長と口裏を合わせておけば大丈夫」
そう思っていませんか? それは大きな誤解です。
派遣会社と派遣先の関係は、あなたが働いている現場だけで完結していません。
現場レベルでの関係
・所長、センター長
・現場社員
・アルバイト・パート
経営レベルでの関係
・エリア長、部長、社長
・複数の事業所での大規模な派遣契約
・長年の取引関係
大きな会社であればあるほど、派遣会社と派遣先の上層部は強く繋がっています。
あなたと所長が口裏を合わせて引き抜きに成功したとしても、後で派遣会社が派遣先の上層部に相談したら…?
派遣先にとっての大きなリスク
たとえば派遣先が、他の事業所で派遣会社から大人数の労働力を供給してもらっているとします。
1つのセンターでの引き抜き問題が発覚したら:
・他の事業所への派遣をストップされる
・派遣単価を上げられる
・取引関係が悪化する
これは派遣先にとって、非常に大きなデメリットです。
実際にあった事例① 所長が詰められた話
ある物流センターでのこと。所長がコストを下げたくて、派遣ワーカーに直接雇用を持ちかけました。スタッフも了承し、話は進んでいました。
しかし、他派遣ワーカーから密告があり、複数ワーカーに事実確認。事実だったため、派遣会社が派遣先の社長に相談。社長から所長へも事実確認が入りました。
「俺が◯◯部長に頼んで繋がりがある派遣会社を紹介してやったのに、何勝手なことやってるんだ」
社長は所長を詰めました。
結果、直接雇用は紹介予定派遣として正規の手続きを踏むか、そのまま派遣で継続するかの二択に。
所長は紹介予定派遣にしてまで欲しいとは判断せず(そこまでのコストに見合わないと判断)、そのまま派遣を選択しました。
スタッフはしばらく派遣として働き続けましたが、所長がよそよそしくなり、現場が居づらくなってしまいました。
派遣会社にも相談しづらくなり、最終的には退職することになりました。
実際にあった事例② 29歳男性、転職活動中の罠
転職活動の合間に、スポットで倉庫勤務をしていた29歳男性。
倉庫・工場で働くワーカーとしては若く、周りの年配の方よりもキビキビ動いてくれるので、派遣先の社員から「すごく良いね!」と持ち上げられました。
考えてみてください。倉庫・工場の仕事は、悪い現場ではありませんが、単純作業が中心です。人並みに動ける人、考えられる人がいれば、誰でもできる作業です。
その中で若くて動きが良ければ、そりゃ目立ちます。
「正社員を目指せるよ!」
その言葉を信じて、アルバイトからの契約社員として引き抜きに応じました。
1年間頑張りました。でも、蓋を開けてみると――
・契約社員のまま 、アルバイトとほとんど変わらない待遇 、正社員になれる道は見えず、正社員になれたとしても「現場社員止まり」でステップアップは限られている
新卒採用で入った社員とは、キャリアパスがまったく違うことを、後になって知りました。
倉庫・工場の現場社員からの誘いは、新卒採用とは違う。そのことをもっとよく確認するべきだった――
でも、確認しようにも現場の社員レベルでは分からないことも多く、確認のしようがなかったのです。
誘われたら、まず派遣会社に相談しよう
もしあなたが派遣先から誘われたら、その場で返事をせず、まず派遣会社に相談してください。
「シフトが減らされそう」と言われたら
派遣会社が派遣先と交渉してくれます。勝手にシフトを減らすことは契約違反です。もし減らされるのであれば、契約期間中決まっていたシフト分は休業補償を求めることもできます。
「交通費が出ないのが不満」と感じたら
時給の交渉や、別の派遣先の紹介を相談できます。
「長期で安定して働きたい」と思ったら
紹介予定派遣に切り替えることができます。これは正規のルートです。
派遣会社は、複数の案件を持っています。今の派遣先がダメでも、次があります。
勝手に動くと、その選択肢を失うことになります。
それでも直接雇用を選ぶなら
どうしても直接雇用を選びたい場合は、以下を必ず確認してください。
✓ 契約書を隅々まで読む
✓ 時給・交通費・有給・シフト・ボーナスを数字で比較する
✓ 派遣会社に「紹介予定派遣」として正規ルートを相談する
✓ 派遣会社の就業規則や契約内容を確認する
勝手に動くと:
・派遣会社からの信用を失う
・今後、派遣の仕事を紹介してもらえなくなる
・派遣先との関係も悪化する可能性がある
まとめ
派遣先からの「直接雇用にならない?」という誘いは、あなたのためではありません。
派遣会社への支払いを減らしたい、というのが本音です。※派遣先(現場)のメリット
その誘いに乗る前に:
・待遇を冷静に数字で比較する
・そもそもなぜ派遣を選んだのか思い出す
・派遣会社に相談する
今の職場は、派遣会社の営業力があって初めて手に入れたものです。その恩を忘れず、正しいルートで動きましょう。焦って決めて後悔するより、一度立ち止まって考えることが、あなた自身を守ることに繋がります。
※この記事は個人の経験と見解をもとにまとめています。詳細は派遣会社の契約内容や就業規則をご確認ください。



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